外来化学療法室
概要
近年、外来での抗がん剤点滴治療が一般的になり、多くの患者さんが通常の日常生活や仕事などの社会生活を継続しながら、生活の質を損なうことなく治療を受けることが出来るようになってきています*。当院でも現在、外来棟2階の第一外来化学療法室7床と第二外来化学療法室3床の計10床で外来化学療法室を運用していますが、看護師、薬剤師が常駐しており、副作用についての説明やきめ細やかなケアを提供、抗がん剤による急な有害事象にも主治医や毎日の当番医と共に迅速に対応できる体制を整えています。また外来化学療法室に常駐はしていませんが、栄養士も必要に応じて介入を行っています。この他、歯科医・歯科衛生士は歯科外来において、主治医の診察日に併せて抗がん剤治療中の口腔管理を行っています。各スタッフの詳細な活動内容は以下の通りです。
看護師は、患者さんの副作用を正確に把握するために「体調チェックリスト」を用いて問診を行っています。近年繁用されている免疫を調節する抗がん剤は、従来の抗がん剤とは異なる副作用が起こることが知られていますので、専用のチェックリストを用いることで幅広く副作用が確認できるような体制を敷いています。
薬剤師は、外来化学療法室で点滴を行う全ての患者さんを対象に服薬指導を行っており、自宅で過ごす際に困らないように生活上の注意点などの説明も行っています。必要に応じて医師に処方変更・追加の提案を積極的に行うことで、患者さんの副作用の予防・軽減に努めています。また、お薬手帳に治療内容や当日の採血結果などの情報を記載した文書を貼付することで、地域の保険薬局とも連携を図っています。
栄養士は、治療中に食事を摂るのに難渋して、体重が減少している患者さんを中心に栄養指導を行っています。抗がん剤によって口内炎が生じている患者さんには食形態の変更や付加食品などを提案することで食事が摂れるように工夫しています。
歯科医・歯科衛生士は、口腔内を清潔に保つことで治療中のトラブルを防ぐために積極的に口腔内のケアを行っています。また、骨の痛みをコントロールする薬剤はあごの骨に影響が出ることが知られているため、使用する患者さんには全例でリスクの確認と必要な処置を定期的に行っています。
当院のリクライニングチェアではご飲食も可能となっており、全台にテレビも設置しています。また、リクライニングチェアを囲んでカーテンを設置することでプライバシーにも配慮しており、点滴時間の長い治療を行う際にも最後までリラックスして受けられるような配慮をしております。
*:当院では初回の抗がん剤点滴治療については有害事象の確認やその対応を考慮して、原則として入院で行うこととしており、その経緯を踏まえ、2コース目から外来化学療法を導入することとしています。このため初回治療入院においては外来治療にスムーズに移行できるよう、退院前に外来化学療法のオリエンテーションを実施しています。
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第一外来化学療法室
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第二外来化学療法室
当院での取り組み
抗がん剤は「細胞障害性抗がん薬」、「免疫チェックポイント阻害薬」、「分子標的治療薬」の3つに大別されます。現在の「細胞障害性抗がん薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」のほとんどは注射薬、「分子標的治療薬」の多くは経口内服薬であり、一般的に外来化学療法室は注射薬による治療用に設置されています。当院では外来化学療法室で対応している、あらゆる抗がん剤の投与中に起こり得る副作用とその対策についてのパンフレットを作製して、丁寧な説明を行なっています。また「免疫チェックポイント阻害薬」と「分子標的治療薬」は最近のがん治療の主流になっていますが、従来の抗がん剤とは異なり、皮膚や爪などに副作用が起こることが知られています。当院では、これらの特徴的な副作用を管理するための専門チーム(通称MIST(ミスト))が必要に応じて入院中、外来通院中の患者さんへの介入を行っています。MISTは専門的な知識を持った医師、看護師、薬剤師の3職種で構成されており、診療科の垣根を越えて介入をすることで副作用の早期発見、早期回復に努めています。介入、特にMISTによる外来診療(外来化学療法室で行っています)を希望される方は担当医にご相談ください。
MISTについて
治療当日の流れ
① 予約時間に各診療科の窓口までおいでください。
② 採血の指示がある場合には事前に採血をお願いします。
(採血結果が出るまでの時間は採血項目によって異なりますので主治医に確認してください。)
③ 身長、体重の測定をしてください。
④ 主治医の診察を受け、治療可能となれば、外来化学療法室までおいでください。
⑤ 気になることがあれば、点滴前~点滴中を問わず、遠慮せず、スタッフにお声かけ下さい。
⑥ 点滴終了後、次回受診日をご確認のうえ、帰宅してください。
⑦ 帰宅中~帰宅後の症状出現(日中)に対しては主治医もしくは各診療科当番医までご連絡ください。
夜間の症状出現につきましては当直医までご連絡ください。
⑧ 点滴実施日ではなくとも、治療中の38℃以上の発熱、水分摂取が困難な嘔吐・下痢、腹痛や嘔吐を伴う腹痛、5回/日以上の水様便などの症状がありましたらご連絡ください。
治療中の注意事項
① リラックスできる服装、前腕部のゆるい服装でご来院ください。ポートをお使いの方は襟元のゆったりした服装でおこしください。
② 点滴の前にトイレをお済ませください。点滴中にトイレに行きたくなったら遠慮なくナースコールを押してください。
③ 治療薬に眠くなる成分やアルコール成分が含まれていることがありますので、車を運転しての受診はお控えください。不明があれば主治医にお尋ねください。
④ 治療中、外出はできませんので、飲み物や軽食は入室前に準備しておいてください。
⑤ ラジオ(イヤホン持参)や本の持ち込み、携帯メールは可能ですが、携帯電話での通話はご遠慮ください。
緊急時の連絡方法
連絡先:国立病院機構 東京病院 | |
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平日8:30-15:00 | TEL 042-491-2181 (予約センター) |
上記以外(夜間・休日) | TEL 042-491-2111 (代表) |
連絡の際には下記の情報をお伝えください。
①氏名
②患者番号
③主治医
④症状と程度
⑤使用している抗がん剤の名前
⑥お困りの内容
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