呼吸器内科
概要
肺は、ひとの臓器の中でも特殊です。胎内で幾つかの段階を経て、出生後も青少年期まで発育しています。内臓であるものの、呼吸する度に気管-気管支-肺胞の気道で空気に接して外界に触れているため、環境に影響を受けやすい臓器です。また、他の内臓では心臓から駆出された血液がそれぞれ分散して環流するのに対して、肺では全身から戻って来る全ての血液が環流します。このため、体の内面的な影響も受けやすい臓器とも考えられています。以上より、肺はひとの健康を映し出す「鏡」とも考えられます。そのような肺には多様な疾患が起こります。気管-気管支-肺胞にかけて、感染症、腫瘍、炎症性疾患、循環障害、アレルギー性疾患、代謝性疾患、胸膜疾患、出血や外傷などが生じます。また、同じ疾患であっても、病態に応じて内科治療を要するものから外科治療を要するものまで経時的に速やかに対応を変化させる必要があります。さらに、呼吸不全では呼吸管理と全身管理の緻密な治療計画を要します。
当院では、2010年10月に呼吸器センターとして組織化されました。さらなる診療の充実をめざして、疾患別に腫瘍・感染症・びまん性肺疾患・COPD・肺循環喀血・アレルギー性肺疾患の6部門に大きく分け、各部門に責任者を置いて、責任者の指導の基、各部門一体となって様々な疾患に対応しています。さらに呼吸器内科を主体として、呼吸器外科・アレルギー科・放射線診療センター・リハビリ科・緩和ケア内科等との協力体制の基で診療にあたり、患者さんにとって今日最良の医療を提供します。また、24時間救急体制を敷いており常時急患を受け入れています。
あらゆる呼吸器疾患に対して専門的医療を提供するとともに、内科専門医制度の基幹施設として、多くの大学病院や総合病院の連携施設として研修医を受け入れて、呼吸器診療の専門医の育成にも努めています。
詳細は呼吸器センターの項をご参照下さい。
診療実績
疾患群別 のべ退院患者数 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
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抗酸菌症 | 669 | 804 | 570 | 493 | 445 |
感染症(抗酸菌以外) | 726 | 799 | 486 | 761 | 953 |
悪性腫瘍 | 1308 | 1231 | 1025 | 642 | 627 |
びまん性肺疾患 | 312 | 325 | 191 | 201 | 232 |
気道疾患 | 140 | 118 | 52 | 52 | 44 |
アレルギー疾患 | 112 | 114 | 34 | 38 | 49 |
呼吸不全 | 158 | 193 | 76 | 64 | 127 |
その他 | 548 | 300 | 191 | 192 | 51 |
のべ退院患者総数 | 3973 | 3884 | 2625 | 2443 | 2528 |
※分類
抗酸菌症 | 結核、非結核性抗酸菌症 |
感染症(抗酸菌以外) | 細菌性肺炎等の肺炎、膿胸、胸膜炎、真菌症など |
悪性腫瘍 | 癌、腫瘍 |
びまん性肺疾患 | 間質性肺炎、過敏性肺炎、サルコイドーシスなど |
気道疾患 | 気管支拡張症、気管支炎、気道出血など |
アレルギー疾患 | 気管支喘息、血管炎など |
呼吸不全 | 慢性閉塞性肺疾患、肺気腫など |
その他 | 心不全、熱中症など上記に含まれないもの |