第二の国民病「慢性肝炎」
肝硬変、肝細胞癌へと進行させないために
慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の原因は、肝炎ウイルスによるものが大部分です。C型肝炎ウイルスが約70%、B型肝炎ウイルスが10%、その他のアルコール、白己免疫性が20%を占めます。
C型慢性肝炎
C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルスの持続感染により肝細胞の破壊が続くものです。C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。
1992年以前(1992以後は輸血用血液のHCV抗体によるスクリーニングが行われ感染はほとんどありません)に輸血を受けた人に感染の危険性があります。そのほか下表に当てはまる人は感染がないか調べる必要があります。
C型肝炎ウイルスはいったん感染すると自然に治ることはほとんどなく、病変は徐々に進行します。20~30年の経過で肝硬変さらには肝細胞癌になる人が出てきます。
B型・C型肝炎ウイルスの感染のリスクが高い人
- 輸入非加熱血液凝固因子を投与された者
- 1と同様のリスクを有する非加熱製剤を投与された者
- 長期に血液透析を受けた者
- 平成4年(1992)以前に輸血を受けた者
- フィブリノーゲン製剤の投与を受けた者
- 1992年以前に大手術を受けた者
- 薬物乱用者(注射器の回しうち)、入れ墨をしている者
- 消毒を充分していない器具によるボディピアスをしている者
- 健診等で肝機能異常指摘後、検査(肝炎ウイルス)未実施者
C型慢性肝炎の治療
インターフェロンはC型肝炎ウイルスを駆除出来る抗ウイルス剤です。HCV-RNA(C型肝炎ウイルスの遣伝子)の型や量を測ることでインターフェロンの治療効果を予測することが出来ます。2001年よりインターフェロンにリバビリンを併用する治療法が保険適応となり、治癒率が約50%に上昇しました。特にウイルス型がlbでウイルス量が多い例(5.0LogIU/mL以上)も効果が期待できるようになりました。さらに、2012年6月より経口薬テラプレビルを加えた三者併用療法が始まります。IL28Bの遺伝子解析で効きやすいかどうか分かります。
一度主治医にご相談下さい
B型慢性肝炎
B型肝炎ウィルスは、持続感染状態にあっても肝炎が起こっているのは一部の人のみです。C型肝炎ウイルスと違い大人になって感染しても一過性の急性肝炎で治ってしまいますが、乳幼児期に感染するとキャリアとなってしまいます。大部分はウイルスが肝臓、血液の中にいても肝炎の無い無症候性キャリアです。
この無症候性キャリアは20~30才になると肝炎に対する免疫機能の回復により肝炎がおこります。これを契機に90%以上の人が再び肝機能が正常な無症侯性キャリアとなり一生大過無く遇ごします。残り10%が6ケ月以上肝障害の持続する慢性肝炎に移行します。
B型慢性肝炎の治療
核酸アナログ製剤であるラミブジンが1992年に、その後アデフォビルが2003年に、エンテカビルが2003年に保険適応となりました。これらの薬はウイルスの複製を抑えてHBVDNA量の低下や肝機能の改善をもたらし肝硬変への移行や肝発がんを抑制します。
副作用も軽微ですが、問題点としては長期投与で耐性ウイルスが出現して効かなくなったり、中止すると肝炎の再燃、増悪のみられることです。そのために長期間、継続して服用しなければなりません。幸い東京都では2010年4月から医療助成が始まりました。
東京都のB型・C型ウイルス肝炎治療医療費助成制度
B型・C型ウイルス肝炎でインターフェロン治療又はB型ウイルス肝炎の核酸アナログ製剤治療をされる都民の方を対象に医療費を助成する制度です。
※詳しくは下記リンクから東京都福祉保健局のページをご覧下さい。
東京都福祉保健局 B型・C型ウイルス肝炎医療費助成について(外部リンク)