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国立病院機構 東京病院

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外来診療予約センター

Tel.042-491-2181

施設紹介

 当院は、東京都郊外の清瀬市にある560 床の一般病院である。昭和14 年に結核療養所として開設され、時代と共に統合・再編成を経て、平成16 年に新病院が完成、国立療養所から独立行政法人国立病院機構東京病院として生まれ変わった。都内から1時間足らずと言うアクセスの良さに加えて、約7万坪の広大な敷地と自然に恵まれ緑あふれる療養環境は、人々の心を癒しつつ、都市型のリハビリテーションを可能にしている。

  • 施設概要
病床数 560床
標榜科目 内科、外科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、消化器外科、循環器内科、脳神経内科、 整形外科、緩和ケア内科、感染症内科、アレルギー科、リウマチ科、泌尿器科、眼科、 耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、病理診断科
沿 革 昭和14 年 東京療養所として開設
昭和37 年 国立療養所東京病院
平成16 年 独立行政法人国立病院機構東京病院に移行

 リハビリテーション科は、50 床の回復期リハビリテーション病棟で脳血管障害を中心に回復期からの専門的リハビリテーションを行うと共に、呼吸器科、脳神経内科、整形外科など院内各科ならびに外来の適応患者について、多職種チームによるリハビリテーション・サービスを提供している。

リハビリテーション科の歴史と特色

 リハビリテーション科(以下リハ科)は、昭和52 年にリハ・脳神経内科病棟として開設され、昭和53 年からは、リハ科として50 床の脳卒中リハ専門病棟となった。開設にあたり、東京大学リハビリテーション部からリハ科医師が派遣され、徐々に指導医を含むリハ科専従医師4名の現体制が確立されてきた。今では全国より幅広く研修希望の医師を受け入れている。
当科の特色は、脳血管障害の患者の亜急性期から退院後までを、リハ科が主治医として一貫して受け持つことができる点である。多職種でのチーム医療、地域の保険福祉医療との連携もきめ細かく行っており、介護保険制度が始まってからも地域からの信頼は厚い。
専門病棟の他にも、院内外来として、呼吸器科、脳神経内科、整形外科、緩和ケア(悪性腫瘍、HIV)等から多数依頼がある。

診療体制

 リハ部門は、施設基準として脳血管(Ⅰ)、骨関節(Ⅰ)、呼吸器(Ⅰ)を取得している。

  • リハ施設基準と職員配置
施設基準 脳血管(Ⅰ)、運動器(Ⅰ)、呼吸器(Ⅰ)
職 員 リハ科医師  6名(非常勤2名)日本リハビリテーション医学会専門医 4名
理学療法士 22名
作業療法士 16名
言語聴覚士  8名
リハ助手   3名
ソーシャルワーカー5名(施設全体で)
専門病棟 50 床(回復期リハビリテーション病棟2)
看護師 21 名
看護助手 6 名

 専任のリハ科医師、PT、OT、ST、ソーシャルワーカーが分担して患者を受け持ち、入院から社会復帰までの一貫したリハを行っている。また、栄養士、薬剤師も積極的にチームに参加している。
医師は病棟で主治医となると共に、外来並びに院内外来への対応も行っている。
また、全病院的取り組みとしての褥そう対策委員会、NST、RST へも積極的に参加している。
週間予定、並びに各種カンファレンスについては下記の表をご覧ください。

  • リハビリ科関連週間予定
  午前 午後
11:00 ~ 12:00 装具診 13:15 ~ 13:45 全体ミーティング
(入院予定患者紹介、初期カンファレンス、多職種情報共有)
   
  13:15 ~ 13:45 全体ミーティング
(入院予定患者紹介、初期カンファレンス、多職種情報共有)
16:00 ~ 17:00 医師勉強会
10:00 ~ 11:00 医師ミーティング 13:15 ~ 14:30 リハ・カンファレンス
14:30 ~ 15:00 摂食嚥下カンファレンス(第1木)
14:00 ~ 15:00 褥そう部会・回診(第2水)
15:00 ~ 16:00 NST ミーティング・回診
8:45 ~ 9:00 呼吸リハ・カンファレンス 12:45 ~ 13:15 主任会議
13:15 ~ 14:00 病棟回診
14:30 ~ 15:30 VF、VF カンファレンス

月~金  8:30 ~ 8:40 リハ棟朝ミーティング
月~金 8:40 ~ 8:50 入院審査会
月火木金 16:30 ~ 17:00 病棟起立訓練
第2月 17:30 合同勉強会
火~金 11:30~12:30 VE(往診)

  • カンファレンス
  開催時期 参加職種
入院審査会 入院相談時 Dr、Ns(師長)、ソーシャルワーカー
入院予定患者紹介 入院決定時 Dr、Ns、PT、OT、ST、ソーシャルワーカー
入院日カンファレンス 入院当日 Dr(主)、Ns、PT、OT、ST、ソーシャルワーカー
初期カンファレンス 入院1週目 Dr、Ns、PT、OT、ST、ソーシャルワーカー
リハ・カンファレンス 入院1月目 Dr、Ns、PT、OT、ST、栄養士、ソーシャルワーカー
退院前カンファレンス 退院前 Dr(主)、Ns、PT、OT、ST、ソーシャルワーカー
本人、家族、ケアマネジャー
摂食嚥下カンファレンス 月1回 Dr、歯科医師、Ns、ST、栄養士
VFカンファレンス 検査時 Dr、歯科医師、ST

 カンファレンスなど患者情報の共有化については、全職種で協力し、常にシステムの見直しをはかっている。
入院相談の時点から患者情報の把握が始まり、入院日が決まり次第、リハビリテーション・スタッフにプレゼンテーションが行われ、訓練担当者は入院日前にあらかじめ決定しておく。そうすることで、入院当日に訓練を開始する、あるいは、少なくとも担当者が訪室して患者や他職種と情報交換をすることが可能になった。
入院1週目で初期カンファレンスを行い、入院後の変化や新たに確認された問題についての情報を共有する。安静度や行動範囲、どの程度の期間でさらに拡大できるかについても確認している。病棟での訓練内容や送迎に関することもここで確認する。
リハビリテーション・カンファレンスはその後の変化、ゴールの修正を確認し、退院時期や準備の進捗状態をチェックする場になった。同時に、在宅予定のケースについては、退院前カンファレンスのアレンジをSW が行い、退院前からケアマネジャーが関わって、ケアプランをアレンジし、環境整備と試験外泊を施行、退院当日にはその後のプランが決定していることを目指している。

専門病棟

 3西病棟を回復期リハビリテーション病棟とし、入院患者はリハ科を主体に整形外科、脳神経内科のリハ目的患者で構成される。

回復期病棟の治療成績

東京病院 2019 全国平均 2019
平均年齢 68±14 76.6±13
性別 男性割合 54% 42.2%
重症度割合(日常生活自立≧10) 36.3% 37.5%
発症~入棟時 27±11 24±14
日常生活自立度 入棟時 7±4 7±4
日常生活自立度 退棟時 3±4 3.5±4
平均在院日数 90±48 67.5±40
総合FIM:入棟時 70±26 68.8±28
総合FIM:退棟時 102±27 91.8±31
総合FIM利得 32±19 23±18
自宅復帰率 84% 66.7%
在宅復帰率 93.0% 78.6%
実績指数(除外前) 48 36.1
実績指数(除外後) 52.3 41.8

 平成25年度からは病棟全体を「回復期リハビリテーション病棟2」として運用開始した。4人床を基本として、2 人床2 室、個室2 室(重症個室1 床、有料個室1 床)から構成される。
平成26年度からは365日訓練を行える体制を整備し、平成29年度からは「回復期リハビリテーション病棟Ⅰ」の上位基準を取得した。
病室には原則としてトイレ・洗面所が配置されており、各ベッドサイドまで車椅子が入れるスペースが確保されている。排泄に監視介助の必要な患者のために、ナースセンターに直結した障害者用集合トイレも利用できるようになっている。また、棟内には、介助用浴室、家庭用小浴室を備え、後者は看護師とOTの協力のもとに在宅を指向したADL訓練にも活用されている。
病棟廊下は、ステーション周囲を周回できる構造となっており、訓練室以外でも歩行量を確保するために、安全に行える条件下で看護師や家族との歩行訓練に利用されている。また、手すりを利用しての起立訓練も、医師の監視下で夕方に15分1セットを2セット施行し、特に車いすレベルで日常活動性の低い患者の廃用防止に役立てている。食事は原則として食堂で摂り、必要な患者についてはその場でST、Ns が指導や援助を行う。
毎週の病棟回診は、単なる訪室ではなく病棟での訓練を担当PT と共に行い、日々の成果を生活の場で確認すると共に、適切なデモンストレーションにより看護との情報共有化に生かしている。
病棟とリハ棟スタッフは、電子カルテ、週2回の全体ミーティングや各種カンファレンス(入院日、1週後、1ヶ月後、退院前)等で緊密に連絡を取り合い、情報共有化の努力をしている。

院内外来・外来

 院内各科からのリハ依頼に応じて、担当医師が速やかに往診し、リハ処方を出している。内容は、当院のもう一つの特徴でもある慢性呼吸不全その他の呼吸器疾患から骨折、難病、癌、HIV のリハまで多岐に渡っている。特に呼吸器疾患については、呼吸不全のリハに加えてH19年度からは術前術後の呼吸リハも原則全例に介入している。また、呼吸器科医師・看護師と協力して「在宅酸素の会」などでの講演や実技で、通院患者への教育、啓蒙活動も行っている。
外来患者のリハは、原則退院患者が地域のサービスに円滑につながるまでのサポートという位置付けで行っている。退院後も長期間支援を必要とする高次脳機能障害患者については、就労までの継続的な支援を行っている。

地域連携

 当院で特に力を入れているのが、退院前からの計画的な地域連携である。入院時より、担当ソーシャルワーカーが介護保険申請についての説明と援助を行い、入院中に余裕を持って介護認定とケアマネジャー決定を行い、退院後のケアプラン作成を当科スタッフと協力して行う「退院前カンファレンス」のシステムを活用している。
退院前カンファレンスは、入院1ヶ月後のリハ・カンファレンスでおよその日程を決定し、ソーシャルワーカーが具体的なアレンジをしている。出席者は、本人・家族・ケアマネジャー、訪問医療・看護スタッフ、ヘルパー、主治医・担当Ns・担当セラピスト・ソーシャルワーカーなどである。病棟でおよその病状説明と退院後の目標、注意点などを確認し、実際訓練室で患者の動きを見て環境整備や訪問サービス、通所サービスの実際を検討する。目標退院日を決め、ケアマネジャーが必要な手続きの手配をして各部門も退院までに必要な訓練や報告書などを準備する。
このように退院後に関わるスタッフと一堂に会してケアプランを作成することで、準備の不備を大幅に減らすことができ、本人・家族も、より具体的なイメージを持って主体的に退院に向かうことができると考えている。

教育活動

 毎年4月~5月にかけて、院内多職種が講師となり「新人対象リハビリテーションセミナー」を行い、知識技術の均霑化を図っている。
昭和56年から毎年、国立医療機関に従事している医師、看護師(師長・副師長)、PT/OT/STを対象とした「リハビリテーション研修会」を厚生労働省から委託され開催している。
地域における活動としては、北多摩北部地域リハ支援事業(幹事)、多摩リハ研究会(世話人)等がある。
コメディカルや学生への教育活動としては、クラークシップ研修並びに関連教育機関からの学生実習(PT/OT/ST)を随時受け入れている。

研修体制

 研修のために当科に配属された医師は、オリエンテーション並びに新人対象のリハセミナー受講後、病棟にて指導医のもと患者の担当医として診療に当たる。専門病棟での平均受け持ち患者数は約10名である。その他に、院内外来症例についても分担して診察・リハ処方を行う。
また、リハ医学会主催の卒後研修会や東京都の補装具研修会などにも積極的に参加をすすめている。
また、研修期間中に症例報告や臨床研究発表の機会を持ち、出来ればそれを論文に仕上げるところまで指導するよう努力している。当科の研究テーマは、脳血管障害・呼吸不全・嚥下障害、褥そう・栄養サポートとリハの関連など臨床に沿ったものである。

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