びまん性肺疾患
「びまん性肺疾患」とは「肺全体に広くはびこっている病気」のことで、肺の間質がおかされて発症する病気がほとんどです。間質とは肺の最も末梢に存在する無数の肺胞の壁を中心とした組織のことで、酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる所です。ここにおきた炎症が間質性肺炎で、進行すると肺は硬くなりガス交換も悪化します。「びまん性肺疾患」の多くが間質性肺炎に含まれており、たくさんの種類があります。代表的な症状は咳と息切れです。レントゲンやCT画像では広汎な粒様あるいはスリガラス様陰影としてみられます。治療と予後は疾患の種類や程度によってかなり異なるので、何よりも適切な診断をくだすことが重要です。診断には通常の臨床検査に気管支鏡や胸腔鏡による肺生検を組合せて行います。
代表的な疾患としては、カビ等の吸入が原因の過敏性肺炎、最近増加している薬剤性肺炎(原因薬剤としては抗癌剤のイレッサ、漢方薬の小柴胡湯、抗リウマチ薬のリウマトレックス等が有名)、炎症よりも肉芽腫という微細な粒が病変の主体であるサルコイドーシス、関節リウマチ等の膠原病に伴ってみられる間質性肺炎、原因不明のいわゆる特発性間質性肺炎等があります。
診断確定後は無治療で経過を拝見する場合もありますが、ステロイドや免疫抑制剤による強力な治療が必要となる場合もあります。また、急性増悪時には血液灌流療法の一つであるPMX-DHPを行う場合もあります。
「びまん性肺疾患」ではこのように様々な病状を呈しやすいので、十分にご理解いただいたうえで慎重に経過をみさせていただいております。